第六回 ~下肢の機能編② 「足の裏」~
2025年11月11日トレーニングの専門家や実践者、アスリート達は「体幹」「股関節」の重要性をよく理解し、トレーニングに励みます。「体幹」とは平たく言えば胴回りのこと、「股関節」は大腿部の付け根、ポケットの袋の内側あたりの部分にあります。両者は身体の機能性や腰痛・膝痛発生のリスクを考えますと、本当に大切です。それは間違いないのですが、今回はそのひとつ前にさらに大切なことがありまして、それについてお伝えいたします。それは「足の裏」であります。
足の裏で地面を捉える、握ることによって人間がポンと何気なく立った時に「足場」ができるのです。「足の裏で地面を捉える」という感覚を持っている人は、靴下と靴を履いて生活する現代の私たちの中にはそういないと思われます。そしてこの足場が人によって随分と良好・不良がございまして・・・・
足場不良の代表格は偏平足です。偏平足は土踏まずがなくなっていて、内くるぶしや踵が内側へ内側へと落ちてきます。そうしますと膝も内側へ倒れ(X脚)、また外反母趾も起きやすくなります。
土踏まずを「縦アーチ」と表現しますと「横アーチ」というのも元来ございまして、足の親指から小指側にかけての甲の部分が天井側に盛り上がるようなカーブがあると良いのですが、多くの人はこれが消失しており、ひどい場合には逆反りになっていたりします。他にも足の人差指と中指が重なってしまっていたり、足の小指を意図的には動かせなくなっていたりします。このような状況では良好な足場=土台を失い、そのはるか上の方にある股関節や体幹部がいくら鍛えられていても立った時に足場が不良であれば、その機能はあまり活かされないでしょう。水泳や座ってボートをこぐ時にはその限りではないかもしれませんが「立つ」「歩く」「しゃがむ」が重力界で生きる私達人間の生理であります。
ランナーにとって、ダンサーにとって、この足場=土台がいかにパフォーマンスの出来不出来のカギを握っているかがうかがいしれます。ウェイトトレーニングを既に実践されている方にはこの足場を改善することによってスクワット、デッドリフト、クリーンの挙上能力が増すことが大いに期待できます。
以下に「足場」を作るための足の裏のエクササイズを紹介いたします。
①「タオルギャザー」・・・タオルを床に敷きそのはじっこを裸足の状態で踵で踏みます。足の指でタオルをつかみたぐりよせます。この時内側二本の指で握る「内握り」と外側三本の指で握る「外握り」の両方を行います。
②「スタビリティスクワット」・・・

足の裏に敷いてあるのは「バランスディスク」という柔らかく、安定性の悪いものです。安定性の悪いものの上に立つことにより「足場」が鍛錬されていきます。ご家庭ではクッションなどで代用できるかもしれません。足場を安定させながらしゃがんだり立ち上がったりを繰り返します。
ゴールドジム横浜馬車道 トレーナー 川本哲也
整体師
健康運動指導士
NSCA パーソナルトレーナ

